第一御徒町高架橋下駐車場
           
              ■設計 日本国有鉄道
           photo by mirutake 2006.6






まずはこの無梁板構造の美しさというか、無機質列柱と言うか、不気味というか、何もないというか・・・・・・とくと鑑賞してください。

またこの色合いがすごいなーと思っているのです。純黒まで良く締まったモノクロームの美しい世界です。が、消火器ボックスとか赤の色が付いているのでカラー写真であることが知れます。




インターネットの「価格com」にて知った、秋葉原の安売り店を目指す。JR高架に沿って、いつもなら絶対行かない寂しい道を歩いてゆくとその店はあった。その店は並んで待つほどの人気の店なのだ。手持ちぶさたに周りを見回していると、JR高架の下に、なにやら見慣れないものが見える。「オーーー」、これは無梁板の柱頭ではないか。あの憧れの無梁板構造。

高架下に入ってみる。ここは駐車場だ。
圧倒的な単純構成の無梁板構造の列柱が立ち並ぶ。
片面採光なので薄暗い、中に行くほど暗がりになる。それが柱の存在感あふれる影の演出となっている。
じっくりじっくり味わってください。





近代初期の、当時新鮮だった構造を、そのまま並べることだけでデザインとした、そんな瑞々しい空間を感ずる。単純な構造だけの圧倒的空間。柱列の並びだけで魅せる建築。

これは知る人ぞ知るテラーニの「ダンテウム」の再現か、と私に思わせた。
これについては水戸芸でかつてあった「テラーニ展」*1 とか、長倉威彦「未構築」*2 のCDをTVで見た程度の情報しか知らないのだが。
入り口が良く解らない計画になっているとか(普通は明快な入り口の動線計画が当然であるが故に、記念碑的建築なら普段のセオリーを破ることで、その記念碑性を表現しようとするとか)、ガラスの柱梁だけが林立する天国の100柱の間、光のない地獄の間とか煉獄の間。ダンテの「神曲」をモチーフに、建築的な方法だけでイメージを作ろうとした物のようだ。言い方を変えれば、これは建築ランドと言うことになるのだと思う。

建築的な手法だけで魅せる空間の構築と言うこと。
このことが意志せずして、単なる高架の操車場を作っただけであり、その余った下の部分を駐車場に使ってみただけというものなのだが、ここにある空間は魅せるものを持っていると思うのだ。




ドコモモ100選に出ていた山田守の東京都水道局施設長沢浄水場(1957)*3 の無料版構造を思い出す。あれよりかなり良いプロポーションに見える。柱間が小さいためなのか、柱頭部が小さく作れている。

同じくドコモモ100選に載っている、村野藤吾の宇部市民館(1937)*4 ホワイエでも無梁板構造が使われている。この構造は特異な形態だから、一般的には使えないものなのだろう。それが高架橋に使ってある。私が気づかないだけで、結構使われている構造なのだろうか。







では高架下の駐車場を鑑賞してください。



















































ここをズーッと入ってゆくと右手にPCボンバーズです。

1987年(昭和62年)4月1日に鉄道事業を株式会社(JRグループ)に分割民営化した。








参考hp

    *1 「ジュゼッペ・テラーニ ファシズムを超えた建築」展  水戸芸術館

     TERRAGNI'S DANTEUM テラーニ ダンテウム NANYODO WEB SHOP

     ジュゼッペ・テラーニ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

     神曲 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

   *2 「TAKEHIKO NAGAKURA 未構築」展

   *3 長 沢 浄 水 場

      文化遺産としてのモダニズム建築DOCOMOMO100選

   *4 村野藤吾の宇部市民館












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