谷口吉生 葛西臨海公園展望広場

好きなのでたまに行きます。



人と人とが直接見る=見詰められる関係の
新しい社交の場





 駅からのアプローチ

 正面 

2階ブリッジより360°


 わたくしは建築を見に行く時、写真をとります。
この建物に初めて行った時に外観をカメラで覗いていると、ファインダーに入っている人達が、すごく意識しているのが解ったんです。普通は知らん顔して通り過ぎるようにするんですが、この建築は総ガラス張りで、広い範囲が丸見えで、通り過ぎられないんです。それは特に斜路の当たりのことでした。
 また人々が展望している所にカメラをむけますと、きつい視線で見られているのを感じるんです。何なんだろうと思ったんですが、みんなカップルで近い距離で見られていることにちょっと緊張しているようなのです。カメラがなければ穏やかに内部から外部から、互いに見詰める関係になっていました。この展望広場は人を=表情を見るのにちょうどいい距離でした。いつのまにか中にいる人々をショーウインドーを眺めるようように見ていたんです。
 この建築は広々とした視界で海を展望しますが、同時に、この高さを押さえた設定によって、人と人とが直接見る=見詰められる関係で、若いカップルの為の新しい社交場と感じました。


 斜路を行く人

 展望スペースを望む 

2階展望スペースで360°


 銀座の喫茶店なんかで、歩道側にずらりと客達が顔を向けているスタイルが登場したのに、びっくりしたのはいつ頃でしょうか。この歩行者と視線をぶつけるスタイルが流行したあと、御台場のカフェテラスがもてはやされるようになり、そのころこの建築は出来上がりました。
 内部と外部が一体である関係を作ろうとしてきた近代建築ですが、内外の人々の視線はぶつからないようにしていたのです。それが喫茶店系列から、店内から視線が外部を行く歩行者を直撃するようになりました。そこからまたカフェテラスへと、視線が交差する関係がより直接的になってきている感じがするのです。
 ここでは正面からアプローチすると、海側まで突き抜けるようになっています。ガラスの箱ですから、ここで視線の交差がいろいろに起こることになります。こういう設定も新しいものと思いました。


 展示スペース

 海側立面・カフェテリア 

外部360°パノラマ


 建物が低いことと、そして建物が先の銀座の喫茶店より以上に透ける大ガラスなのですから、内部から展望する人以上に、外部から内部の人々も展望されている関係になりました。それはショーウインドーを見るようでもあったのです。おまけにここを訪れるのは若いカップルが圧倒的ですから、お互いにファッションを見合う、そして品定めをし、また見詰め合ったりしているようなのです。それが新しい社交場とまで読んでしまいたい気にさせました。





建築を一般の人との交流として、初めて発見できた時の文章です。
長文ですが、「交錯する目線」をどうぞ。



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